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ChatGPTはあなたの先生になれるか?

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最近ChatGPTなどの生成AIが注目されていますね。質問をすると自然な文章で次々と答えてくれる様子を見ると、私たちが知らないことを何でも教えてくれる先生のような存在だと思うかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?

先に結論だけ言っておくと、今の段階でChatGPTのような生成AIを『正しいことを何でも教えてくれる先生』のように見なすのは危険ということです。(今後の発展次第ではどうなるか分かりませんけどね)

突然ですが、あなたは物理学について分からないことがあった時、どうやって調べていますか?

参考書は難しくて意味が分からないし、Googleで検索しても断片的な情報しか出てこない…「そうだ、分からないことはChatGPTに聞けばいい!」と思うかもしれません。

そこで物理学の話題についてChatGPTがどれぐらい正確に回答してくれるのか試してみました。

「アラゴーの円板」と呼ばれる物理現象についての質問です。(ChatGPT3.5を使用)

質問:
アラゴーの円板について教えてください。

ChatGPTの回答:
アラゴーの円板(アラゴーのえんばん、Arago’s disk)は、光学の現象の一つで、円形の明るいディスクが光源の近くに現れる現象です。この効果は、光が波動として振る舞うことによるもので、フレネルの回折とも関連しています。

アラゴーの円板は、フランスの科学者フランソワ・アラゴーによって1819年に初めて観察されました。アラゴーは、太陽光が小さな孔を通過する際に、その影の周りに明るい円形のディスクが現れることに気付きました。

この現象は、光の波動性による回折に起因しています。光が孔を通過すると、波が円形に広がり、その影響で周囲が明るくなるため、円状の明るいディスクが形成されます。

アラゴーの円板は、波動光学の理論として広く認識されており、光の波動性が物理学において重要な役割を果たしていることを示しています。

—————–ここまで——————–

「すごい!これは便利だ。これからは分からないことはChatGPTに質問しよう!」

と思ったのなら、ちょっと待ってください。…すでに1行目から間違っています(-_-;)

「アラゴーの円板」はChatGPTの回答のような光学現象ではありません。銅のような非磁性(磁石にくっつかない性質)の金属円板の近くで磁石を回転させると、誘導電流とローレンツ力の影響で円板が力を受けて回転するという現象です。

フランソワ・アラゴーという科学者が発見したことは確かですが、ChatGPTの回答は「エアリーディスク」という現象と勘違いしています。(「エアリーディスク」の説明としても少しおかしい点がありますので注意してください)

でも文章としてはしっかりしているので、この現象について何も知らない状態で読むと信じてしまいそうですね。

最先端のAI技術も使いようによっては、あなたを正しい知識から遠ざけてしまうという一例でした。

ChatGPTは確かに便利な一面もあるので、生成された文章を盲信しないように注意しながら使うのがいいでしょう。

参考書、ネットで検索、ChatGPT、どれも物理学を勉強するにはイマイチならどうすればいいんだ…とお悩みであれば、ご安心ください。

クリエイティブ・サイエンスは学生のころ理数系科目を諦めてしまった方でも、高校~大学レベルの知識がしっかりと身につくようにサポートしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

この記事を書いた人

下河 有司
■ 東京大学で博士号を取得(専門は物理工学)
■ 東大生産技術研究所の博士研究員
■ 東京電機大学の非常勤講師
■ ITエンジニア
を経て
■ 現在、社会人学習塾「クリエイティブ・サイエンス」を運営。科学を学び直したい大人の方を支援しています。